フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol1
「子どもが本気で嫌がっているのに、元夫との面会交流を強制される…どうしてなの!?」
「父親との面会の前日、子どもがシクシク泣いていてかわいそう」
「どうして裁判所は面会を強制するの?」
離婚してようやく夫と縁が切れたと思ったのに、離婚後面会交流を求められて困ってしまうママさんたちがとても多いです。
あまりに不合理すぎる…納得できない!!
と思いますよね?
そんなとき、面会交流を拒絶できるケースもあるので、是非とも知っておいて下さい。
今回は、離婚後元夫からの面会交流を拒否できる場合と方法を、元離婚弁護士の私が解説します。
1.裁判所は面会交流が「必要」と考えている
面会交流とは、離婚した後に親権者にならなかった方の親と子どもが面会をすることです。
子どもの親権者にならなかった親は子どもと一緒に暮らせなくなりますが、親である以上子どもと会う権利があります。
また、子どもにとっても別居親と会うのは良いことと考えられているので、面会交流には子どもの権利という側面もあります。
…というのが家庭裁判所の考え方です。
家庭裁判所のビデオでも、このようなメッセージを繰り返されるので、あなたも何度も見たことがあるかも知れません。
けれど、実情とは違うことも多いですよね。
本当は子どもが心底面会交流を嫌がっていて、面会の前日には泣いていたりすることもあり、ママとしては心が痛んでしまいます。
「裁判所は全然わかってない!」と考えるママさんたちも多いです。
2.面会交流を拒絶できるケース
それでは、子どもと元夫(父親)の面会交流を拒絶することはできないのでしょうか?
以下のようなケースでは、面会交流を拒否できます。
- 元夫が子どもを虐待していたケース
元夫や子どもに対して暴力を振るったり暴言を吐いたりして、子どもを虐待していた場合には、面会交流は適切でないと考えられるので認められにくいです。そこで、面会交流を拒絶できます。
- 父親(元夫)が会うことが子どものためにならないケース
子どもが虐待されていなくても、子どもが心から父親と会うことを拒絶しており、父親と会うと体調を崩すなどの顕著な事情があれば、面会をしばらく実施しないで様子を見るケースがあります。
以上に対し、母親が父親からDV被害を受けていただけの場合には、面会交流が認められる可能性が高いです。
父親が母親に暴力を振るっていても、夫婦問題と親子問題は別なので、子どもにとっては必要な良い父親である可能性がある、というのがその理由です。
また、父親が養育費を支払っていなくても面会交流は認められます。面会交流と養育費支払は引換えではないからです。
このような考え方にも納得できない方が多いと思われますが、これが基本的な家庭裁判所のスタンスです。
つまり裁判所は、とにかく「面会交流すべき」という考えなので、簡単には面会交流を拒絶できません。
3.子どもが嫌がっている場合の対処方法
それでは、子どもが本当に面会交流を嫌がっていたらどうしたら良いのでしょうか?
3-1.面会交流調停で話合いをする
もしもまだ夫との間で特に面会交流の方法を取り決めておらず、一方的に面会交流を求められているのであれば、家庭裁判所で調停を申し立てるように言って面会を拒絶すると良いです。
相手が調停を申し立てない限り、会わせない理由になります。
相手が実際に調停を申し立ててきたら、調停期日に出席して、子どもが元夫と会いたくないと言っていることを説明しましょう。
子どもがある程度大きくなっている場合には、子どもの気持ちを書いた手紙などを裁判所に提出するのも1つの方法です。ただし、母親が無理矢理書かせたと言われる可能性があるので、子どもの年齢や手紙を書くシチュエーションなどには配慮が必要です。できれば弁護士に相談しながら対応した方が安心です。
3-2.写真や手紙、メールなどの代替方法を提案する
調停では、相手は強硬に面会を要求してくるでしょうけれど、応じなければならないわけではありません。
調停期日を何度でも繰り返し、「子どもが泣いて嫌がっているから今は会わせられない」と強く主張しましょう。それだけでは話が平行線になるので、たとえば子どもの写真を定期的に送るとか、子どもから定期的に手紙やメールを送らせるなどの方法で面会に代えることができないか、提案してみましょう。
調停委員が相手を説得し、相手が納得すればその内容で調停を成立させて、会わせずに済ませられる可能性があります。
3-3.調査官に「面会しなくて良い」という意見を出してもらう
相手が代替手段では納得しない場合には、調査官が子どもの様子を調べに来ます。
家庭訪問をしたり、調査官が子どもと2人で会ったりして、子どもの本心を聞き出します。
このとき、本当に子どもが父親を受け付けない状態であれば、「今は面会交流をすべきでない」、という意見を出してもらえる可能性もあります。
そうなれば、面会交流はしばらく行わない方向で話を進めることができるでしょう。
3-4.最終的には審判で決定される
調停では相手がどうしても納得しない場合には、面会交流の調停は不成立となり、審判に移行します。
審判になったら、裁判官が面会交流の方法を決定します。
ただ、裁判官は調査官の意見に大きく影響を受けるので、調査官が「面会交流をさせるべきではない」と判断していたら、審判内容もそれに従ったものになる可能性が高いです。
また、審判と言っても突然判断が行われるものではなく、何度となく和解の話が行われるものです。その中で、お互いが納得できれば調停によって解決できます。
どうしても和解できない場合にのみ、最終的に裁判官が面会方法を決定します。
面会交流調停が開始してから審判が出るまでは半年~1年くらいかかるので、その間は父親と子どもを会わせる必要がありません。
4.どうしても面会交流をしなければいけない場合
調停や審判の流れで、どうしても面会交流を避けられない状態になったら、以下のような提案をしてみましょう。
4-1.子どもの写真や手紙を送る
1つは先ほども説明した通り、会わせる代わりに子どもの写真を送ったり子どもから手紙を送らせたりする方法です。
4-2.FPICなどの第三者機関を利用する
FPICとは、家庭裁判所の調査官OBなどで組織している面会交流のサポート機関です。面会交流を自分たちだけでは行えない元夫婦や夫婦のため、FPICの施設を提供し、FPICの職員立ち会いの下で面会を行います。
FPICを利用すると、母親自身は面会に立ち会う必要がありませんし、FPICの施設内で面会が行われるので連れ去りの危険などなく安心です。
面会時間も2時間程度に限定されるので、負担が小さくなります。ただし有料なので、どちらが費用負担すべきかが問題になるケースが多いです。
4-3.第三者を立ち会わせる
FPICを利用したくない場合には、母親もしくは母親の親族などの第三者を立ち会わせることも考えられます。
このような工夫を行い、少しでも子どもに負担の少ない方法の実現を目指しましょう。
5.面会交流を拒絶し続けるとどうなるの?
もしも何の対策もせずに面会交流を拒絶し続けたらどうなるのか、知っておきましょう。
この場合、相手から面会交流調停を申し立てられるでしょう。調停が不調になったら、面会交流調停は審判に移行します。
審判で面会交流の命令が出たのに従わない場合には、どうなるのでしょうか?
この場合、子どもと父親を無理矢理面会させる
…ということにはなりません。
面会交流は強制執行に向かないからです。無理矢理面会させても子どもが傷つくだけですし、父親の方も楽しくありません。
そこで、裁判所によって無理に面会を強要されることはありません。
もう一度言いますが、無理に面会させられるということはないのです。
ではどうなるのか?ノーペナルティなのでしょうか?
そういうわけではありません。
裁判所によって面会交流の命令が出ているのですから違反するとペナルティがあります。
具体的には「間接強制」と言って、面会交流を拒絶するたびに
「数万円程度のお金をとられます」。
また、拒絶の程度が酷い場合(長期にわたって何度も拒絶し続けた場合など)には、
慰謝料の支払が必要になるケースもあります。
このように、面会交流を拒絶すると、最終的に「金の問題」になるのであって、無理矢理面会を強制されることはないのです。
6.面会交流を拒否したい場合、弁護士に相談してみると良い
「金さえ払えば面会を拒絶できるのか?」
あなたもそんな感想を持たれるかもしれませんが、そう単純なことではありません。
お金だって、強制執行で取って行かれたら生活に困ってしまいます。
また、裁判所から支払い命令が出るのは気持ちの良いものではありません。給料を差し押さえられたら会社にもトラブルがバレます。
そんなことにならないためには、弁護士に相談することをお勧めします。
相手がしつこく面会を迫ってきている場合、弁護士に間に入ってもらって面会交流の方法を話しあってもらうことができます。
面会交流の調停を申し立てられても、調停に同席して意見を言ってもらえますし、調査官調査に適切に対応してもらい、あなたに有利な内容の意見を書いてもらえるよう促してもらえます。
審判になっても、可能な限りあなたに有利な結果が出るように主張や立証活動をしてくれますし、有利な条件で和解できるよう、取りはからってもらえるものです。
私も現役時代、離婚後の面会トラブルで数多くの面会交流事件を担当したので、父親に目会を迫られるあなたの気持ちがとてもよくわかります。
困ったとき、お一人で悩まれていても解決が難しいので、まずは離婚問題に強い弁護士に相談してみてください。
最近の方は、みなさんネットでそれぞれの分野に強い弁護士を探します。
日本法規出版のサービスを利用すると、あなたの近くの離婚問題に強い弁護士を簡単に見つけられるので、よかったら是非とも一度、利用してみてくださいね。
今は無料で操舵を受け付けている弁護士もたくさんいるので、費用負担が心配な方は、無料相談できる弁護士を探してみるのも良いと思います。
あなたとお子様が安心して幸せな気持ちで過ごせる日が来ることを、心よりお祈りしています。
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