
フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol1
最近、弁護士の転職市場では空前の「売り手市場」となっているようです。司法試験の合格人数が減らされた影響などで、企業でも法律事務所でも若手の弁護士を欲している状況が続いています。
一時期の「ノキ弁」「即独」などはどこへやら、とりあえず「就職出来ない修習生はいない」「若手ならどこでも転職できる」状況です。
しかし一般的に転職は「年齢」を経るに従ってどんどん不利になるもの。弁護士の世界も例外ではないでしょう。弁護士が転職するなら「何歳まで」が良いのでしょうか?
今回は弁護士が転職するときに知っておきたい「転職理由」「年収などの条件」「何歳までなら転職できるか?」などの情報を弁護士専門のエージェントに聞いてみたので、その内容をご紹介します。
私は法律ライターなので、弁護士の転職エージェントとお話をする機会が多く(転職サイトに載せる記事もしょっちゅう書いています)、このような詳しい話を聞くことがきまし。是非とも参考にしてみてください。
弁護士に多い転職理由
弁護士に多い転職理由は以下のようなものです。
ワークライフバランスを実現したい
今の事務所が忙しすぎるので、もっとゆとりをもって働きたいというものです。忙しい企業系法律事務所や大手事務所から企業への転職を希望される方が多くなっています。
インハウス(企業内弁護士)を経験したい
一度はインハウスを経験してみたいという理由で転職を希望される先生もおられます。
法律事務所で働きたい
反対に、企業に就職したは良いもののもっと法律に特化した仕事をしたい、弁護士となったからには法律事務所で働きたいと希望し、法律事務所への転職を希望される先生もおられます。
年収を上げたい
今の年収が低いので、もっと良い条件の職場に移りたいという先生もおられます。
もっと幅を広げたい、専門性を高めたい
今の事務所で「債務整理ばかり」「交通事故ばかり」など特定の業務ばかりなさっている方は、よりいろいろな仕事をして幅を広げたいと希望されるケースがあります。
また「企業法務に特化したい」など専門性やスキルを高めたいというご希望もあります。
転職後の年収、条件について
弁護士が転職したあとの年収は、人によってさまざまです。
大手の忙しい事務所からインハウスに転向すると、年収2,000万円を超えていても1,000万円程度にまで落ち込むことが多いようです。
法律事務所間の転職やインハウス同士の転職なら、さほど給与は変わらないケースが多数です。
インハウスから法律事務所に移動すると年収はアップするケースが多くなっています。
インハウスでの弁護士の給与は、相場が500~1,000万円くらいです。その代わり午後4時~5時に帰れる、残業代がつく、週休2日や祝日が保証されるなどワークライフバランスを実現しやすい環境となっています。
ご夫婦で弁護士をなさっている方の場合には、どちらにも収入があるので「夫婦が両方ともインハウスで働いて合算すれば充分」という考えのもと転職される方も多いそうです。
特に結婚や出産を機にそれまでの働き方を見直し、インハウスへ転向する方が多数となっています。
弁護士の転職は何歳まで
一般的に、転職は年を取ると不利になるものです。
転職サイトなどでは「弁護士は年齢関係なく転職できる」と書いているものもありますが、これは事実と違うようです。
弁護士であっても年をとると転職に不利になるのは間違いありません。
今は売り手市場とはいっても、買われているのは「若手」です。
分水嶺は40歳
聞いたところによると、弁護士でも40歳を過ぎると転職が厳しくなってくるようです。
30代ならほぼほぼ問題ないとのこと。
ただし「転職先」によっても「年齢の評価」が変わってきます。
インハウス(企業への転向)の場合
インハウスの場合、もっとも年齢に対する見方が厳しくなっています。40歳なら他の従業員が管理職になっている年代なので、マネジメント経験がないと転職が厳しくなります。
インハウスへ転向されるなら、35歳までに転職活動をするのが望ましい状況です。
企業法務系法律事務所の場合
企業法務系の法律事務所の場合もやはり年齢が高くなると転職に不利になります。法律事務所で年齢が高くなると「自分のクライアント」をもっていけるかどうかが問題となるからです。クライアントがなく事務所の売上げに貢献できないなら、年齢の高い人は受け入れられづらくなります。
ただし企業法務の経験豊富でクライアントを抱えている先生なら即パートナーとして採用ということもあります。
一般民事系法律事務所の場合
一般民事系の法律事務所では、比較的年齢の比重が小さくなります。社会人経験があったりして40歳を超えていても、人柄がよかったりボスと気があったりすると即採用、ということもあるようです。
弁護士転職サイトなどで「弁護士は40、50歳になっても転職可能」という場合「転職先は限定されている」と考えた方がよさそうです。
ただし地方などでは年を取っていてもあまり関係なく就職出来るケースも少なくありません(募集が少ない問題はありますが)。都市部と地方の違いも意識しておく必要があるでしょう。
弁護士が転職する場合であっても年齢が若い方が有利であることは間違いありません。もし「今働いている法律事務所がブラック」「インハウスへ転向したい」「もっと条件の良い事務所へ移りたい」など転職をご検討されているなら、早めに転職活動を開始した方が良いでしょう。
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