フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol1
- 夫のスマホを見たら、女性と親しげにやり取りをしていた!不倫していると思う
- 夫が不倫しているみたいだけれど、夫も不倫相手も不倫の事実を認めそうもない
- どのような証拠があれば不倫の証明に使えるの?
配偶者のスマホを見て「デートの約束」などの親しげなLINEのやりとりを発見することがあります。そんなとき、LINEのメッセージで浮気を証明できるのでしょうか?
今回は、浮気の証拠として有効なものにどのようなものがあるのか、また証拠集めをする際に注すべき点をご紹介していきます。
1.調査会社の報告書
配偶者の浮気を証明するために、探偵事務所の調査報告書は非常に有効です。
1-1.調査会社の報告書とは
法律上、浮気や不倫のことを「不貞」と言いますが、不貞というためには単に交際しているだけではなく「性関係」が必要です。
LINEの記録などだけではなかなか性関係まで証明しにくいものですが、探偵事務所に尾行調査をしてもらい、浮気の現場を押さえると、相手方らも言い逃れできなくなります。
たとえば相手方らが旅行に行って2人で旅館に泊まるところや、ラブホテルなどに入るところ、浮気相手の家に泊まるところなどを写真付きで押さえられたら、「性関係がない」という言い逃れは不可能となります。
探偵事務所の調査報告書は、離婚裁判や不貞の慰謝料請求訴訟でも利用できる証拠です。
1-2.取得にかかる費用
探偵事務所に依頼して浮気の調査報告書を出してもらうにはかなりの費用がかかるイメージがあります。
実際に、探偵事務所に尾行調査をしてもらったら、安くはない費用が発生します。
金額は、依頼する探偵社によっても異なりますし、浮気の現場を押さえるまでに何回尾行調査が必要になるかによっても異なります。
運良く1回目で押さえることができれば、良心的な業者の場合には10~15万円程度で済むケースもあります。
一方何度後をつけても尻尾をつかむことができなかった場合などには、合計すると100万円以上の費用が発生してしまう可能性もあります。
探偵の調査報告書は、繰り返し調査を行うことによって「不貞期間が長期に及んでいる事実」の立証資料としても使えますが、何度も尾行すると費用がかさむので予算との相談になります。
2.LINEのやりとり
次によく不倫の証拠として利用されるのが「LINEのやり取り」です。LINEのメッセージの証拠能力は、内容次第です。
不貞の証明をするには「性関係」を立証しなければならないので、それにかかわらない内容の場合証拠価値が低くなります。
たとえば「好き♡」「愛してる♡」「今日もたのしかった」などのやり取りがあると、一般的には「浮気している!」と受け止めますが、法律上の「不貞」の証明としては弱くなります。
一方、性交渉の際にふざけて撮影した裸や半裸の写真が添付されていたり、文字で「旅行した」「肉体関係をもった」「奧さんにバレていない」などと書かれていたりすると、有力な証拠になる可能性があります。
2-1.LINEの相手について
LINEのメッセージを証拠として利用するとき、メッセージの相手を特定する必要があります。LINEでは、相手をニックネームで登録していることが多く、画面を見ただけでは相手が誰かわかりにくいからです。
電話番号や呼び名、登録されている会社名などから推測しましょう。
2-2.LINEのメッセージを証拠化する方法
またLINEの記録を証拠化するためには、メッセージの画面をすべて写真で撮影する必要があります。LINEはメッセージをまとめて転送する方法もありますが「編集した」「作為が加えられている可能性がある」などと言われて証拠能力が減殺されるおそれがあります。
時間があれば、できるだけ画面をすべて撮影しましょう。
3.夫や妻が不倫を認めている場合
夫が不倫しているとわかったら、夫を問い詰めて認めさせることができるケースもあります。その場合には、夫に「浮気の自認書」を書かせましょう。浮気の自認書とは、「確かに〇〇さんと肉体関係を持ちました」と不貞行為を認める書面です。
このように、夫が浮気を認める書面があれば、それを浮気相手に対する慰謝料請求の証拠としても利用できます。
浮気の自認書を作成させるときには、必ず「性関係があった」ことを明記させる必要があります。単に「浮気した」と書かれた場合「キスしただけだった」「デートしたら浮気したことになると思った」などと言い訳される可能性があります。
また、いつ頃から不倫が始まったのかも書き入れさせて、自認書を作成して日付を書かせて署名押印させましょう。
配偶者による浮気の自認書は、浮気相手に対する慰謝料請求訴訟の証拠としても利用できます。
4.GPS
最近では、浮気調査方法にGPSを利用される方がおられます。
よくあるのが、夫の車やバイクにGPS発信器をつけるパターンです。またスマホや携帯電話の位置情報アプリ使って行き先を調べることもあります。
ただしこれらの方法は、違法と判断される可能性もあるので注意が必要です。
4-1.夫の車やバイクにGPS機器を取り付ける方法
夫の車やバイクにGPS機器をとりつけると、夫が浮気相手の家やホテルなどに行っている時日を把握できて浮気の証拠にできる可能性があります。
ただ一般に、位置情報もプライバシー情報の1つと考えられています。夫に知られずに勝手に位置情報を取得することには危険もあります。
また車やバイクが他人の所有物であれば、所有者から器物損壊やプライバシー権侵害にもとづいて損害賠償請求されるおそれもあります。
4-2.夫のスマホの位置情報を確認する方法
もう1つは夫の携帯やスマホのGPS機能を使う方法です。夫が浮気相手のマンションやホテルにスマホを持ち込んで数時間や一晩移動がなければ、夫が浮気している証拠となる可能性があります。
しかしスマホの「浮気調査アプリ」を利用すると「不正指令電磁的記録供用罪(刑法168条の2の2)」や「不正指令電磁的記録取得罪(刑法168条の3)」が成立する可能性があります。
これらは、コンピュータウイルスについての犯罪です。他人のパソコンやスマホなどの端末にウイルスを仕掛けたり稼働させたりすると、成立します。
アプリを仕掛けたときの「供用罪」の刑罰は3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑、アプリから情報を取得した場合の「取得罪」の刑罰は2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑です。
これまでに、実際に浮気調査のために配偶者のスマホに勝手にアプリを仕掛けて情報を取得した人が、逮捕されてしまった事例もあります。
4-3.勝手にログインすると不正アクセス禁止法違反に
アプリなどを使って夫の位置情報にアクセスするとき、PC上などから夫のIDやパスワードを使ってログインするケースがあります。その場合には「不正アクセス禁止法」という犯罪が成立してしまいます。不正アクセス禁止法とは、他人が勝手にIDやパスワードを使ってネットワーク上の情報にアクセスしたときに成立する犯罪です。
刑罰は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金刑です。
ウイルス供用罪や情報取得罪、不正アクセス禁止法違反などについては、たとえ「浮気調査の目的」という正当な理由があっても違法です。逮捕されて罰を受ける可能性がありますし、夫から損害賠償請求されるおそれもあるので、やってはいけません。
4-4.住居侵入罪の可能性について
夫と別居しているケースでは「住居侵入罪」にも注意が必要です。たとえばスマホにアプリを仕込みに行ったり、車やバイクにGPSを仕掛けるために勝手に敷地内に入ったりしたら住居侵入罪が成立してしまう可能性があります。
刑罰は3年以下の懲役または10万円以下の罰金刑です(刑法130条)。
浮気調査をするとき、調査報告書やLINEのメッセージ、自認書などは有効ですが、GPS調査には大きな危険を伴います。特に探偵事務所の調査報告書で不倫の現場をバッチリ押さえていたら、裁判でも不倫を証明できます。
夫や妻の浮気で悩んでいるなら、一度探偵事務所に相談されてみてはいかがでしょうか?
弁護士が運営している探偵事務所があるので、「いきなり探偵事務所に相談するのがこわい…」という気持ちのある方も、よかったら問合せをしてみてください。
フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol2
フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol3