フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol1
昨年は、ビットコインが20倍以上もの値上がりをして、一時は1ビットコイン200万円を超えました。仮想通貨の1種であるXEM(ネム)コインも、昨年末頃から大きく値上がりをしたので、喜んでいた方も多かったのではないでしょうか?
ただ、年明けからは、こうした仮想通貨の価格が下落気味だった上、今回「コインチェックから500億円相当ものXEMコインが流出する」という大事件が起こってしまいました。
「コインチェックが破綻する可能性があるのか?」
不安になっている方もおられるかもしれません。
今回は、コインチェックのXEM流出事件と今後の展望について、元弁護士のライターぴりかが考察します。
1.コインチェックとは
まず、「コインチェック」とは何か、簡単にご説明します。
コインチェックは「仮想通貨交換所」です。
仮想通貨は物質ではないので、取引を開始するためには、仮想通貨交換所で「口座開設」する必要があります。口座を開設して、そこに日本円を振り込み、仮想通貨(ビットコイン)などと交換するのです。
そして、仮想通貨交換所は複数存在します。いろんな銀行があるのと同じだと考えてもらったら良いです。
コインチェックは、利便性が高く、非常に利用者が多い仮想通貨交換所でした。
だからこそ、今回の事件はショッキングだったと言えます。
2.XEM(ネム)コインとは
XEM(ネム)コインとは、仮想通貨の1種です。
仮想通貨というとビットコインが有名ですが、実は仮想通貨には非常にたくさんの種類があります。
日本の仮想通貨交換所で流通している仮想通貨は認定されたものに限られるため、20種類に満たないのですが、認定されている仮想通貨以外のものを含めると、1,000種類以上あると言われています。
日本では、価値のない仮想通貨が出回って利用者が被害を受けることを避けるため「ホワイトリスト」という制度を採用しています。ホワイトリストとは、「比較的安全で信頼できる仮想通貨のリスト」です。
日本の仮想通貨交換所には、ホワイトリストに登録されている仮想通貨しか流通しません。
そして、XEM(ネム)コインは、きちんとホワイトリストに載っている仮想通貨です。
ビットコインより新しい通貨でビットコインの弱点も克服しており、将来性も期待されていたものです。
3.過去の仮想通貨取引所破綻事例
今回、コインチェックからのXEMコイン流出事件によって、コインチェックが破綻するかもしれないと思っている方がおられるでしょう。
実際に、過去に仮想通貨交換所からの流出により、仮想通貨交換所が破綻した事例があります。
それは、2014年のMTGOX社(マウントゴックス社)の事例です。
MTGOX社では、多額のビットコインが流出したことにより、破綻してしまいました。
ただ、同社はいったん破産手続きを進めていたのですが、その後のビットコイン高騰により債務を返済できる可能性が出てきたので、民事再生に移行するかもしれません。
この話はちょっと面白いので、また別の機会にご紹介しますね!
4.コインチェックは破綻する?しない?
それでは、今回のXEMコイン流出により、コインチェックも破綻してしまうのでしょうか?
個人的には、それはないのではないかと思っています。
なぜなら、コインチェックとMTGOX社には、大きな違いがあるからです。
MTGOX社の時代には、まだ仮想通貨交換所に対する規制がありませんでした。どのような業者も比較的自由に仮想通貨交換所を開くことができたのです
ところが今は「資金決済法」という法律ができているので、きちんと資金力がある業者しか「仮想通貨交換業者」と認められませんし、認定されたか創通か交換業者には、最低限の資金力があることや、顧客からの預かり金と自社の資産を分けて管理しないといけないなど、いろいろな規制があります。
コインチェックも「仮想通貨交換業者」として認定を受けているので、こうした条件をクリアしているはずです。
そこで、そう簡単には倒産しないと考えられるのです。
今、政府から業務改善命令を受けたようなので、今後どうなっていくのか、見ていきたいと思っています。
なお、仮想通貨については、借金して投資している方がおられます。
先日、ビットコインが下がったときなどには、サラ金から借り入れて追加投資してしまった方も多いのではないでしょうか?
借金によって投資をすると、とても危険ですので、それは辞めましょう。借金さえしなければ、投資によって残高がマイナスになることはありません。
今回は、コインチェックのXEM流出事件について考えてみました。
今後の参考にしてみてください。
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