フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol1
ライター、デザイナー、ブロガー、アフィリエイター、youtuberなどすべてのフリーランスは「確定申告」をしなければなりません。
サロンやポルカ、noteやbrainなどの収入も例外ではありません。
確定申告しなくて良いのは極めて少額な所得の人だけです。きちんと確定申告しないで放置していると、非常に高額な加算税を支払わねばならない可能性もあり要注意です。
今回はフリーランスにとって重要な確定申告の知識をご紹介していきます。
1.確定申告が必要な人と不要な人の境界線
ネット上で何らかの収入を得ていたら、ほぼ確定申告が必要と考えましょう。
確定申告が不要なのは以下の人のみです。
- 事業者で基礎控除以下の人
ライティングやアフィリエイトなどで所得が年間38万円以下なら申告不要です。それを超える所得があれば申告が必要です。
- 給与所得者で副業収入が20万円以下の人
ネット副業をしている人は、副業収入が20万円以下なら申告不要です。それを超えていたら自分で確定申告しなければなりません。
ほとんどの人が「確定申告が必要な人」になるので、無申告のまま放置してはなりません。
また3年前の売上額が1,000万円を超えていたら上記の所得税の申告納税だけではなく消費税の申告と納税も必要です。
2.確定申告しなかったらどうなる
確定申告の時期は、所得を得た翌年の2月15日~3月15日までです。その時期内に申告だけではなく納税もしなければなりません。
申告あるいは納税を怠ると、以下のようなペナルティが下される可能性があります。
2-1.延滞税
期限までに納税しなかったら、延滞日数に応じて延滞税が付加されます。延滞税の割合は毎年変わりますが2020年の場合、納期限から2か月までは年率2.6%、それを超えると年率8.9%になります。
2-2.加算税
申告漏れがあった場合や無申告、脱税の意図を持っていた場合、それぞれ「加算税」という高額な税金が課されます。
無申告加算税
申告しなかった場合には無申告加算税。税率は最高20%になります。
過少申告加算税
確定申告自体は行ったが本来よりも少額で申告納税した場合、過少申告加算税。税率は最高15%です。
重加算税
脱税の意図を持って申告しなかったり過少申告したりした場合、重加算税。最高税率は40%になります。
延滞税と加算税を課されると、収入のほとんどが消えてしまう可能性もあるため、必ず正しい方法で確定申告をしましょう。
2-3.刑事罰(脱税)
上記の税金のペナルティとは別に脱税という刑事罰もあります。
刑罰は「10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、あるいはその併科(両方)」と非常に重くなっています。
よほど悪質でない限り脱税で逮捕、ということはありませんが、無申告で放置しているとリスクが高くなるので、絶対に申告はきちんとしてくださいね。
3.税務署はネットフリーランスの調査に力を入れている
近年では、アフィリエイトやyoutubeなどで莫大な収益を得る人も増えています。
Noteで「私が〇〇で稼いだ方法」などの商材を売って1日で数百万円という方もいるでしょう。
税務署も当然こうした動きを把握しており、ネットフリーランスへの監視を強めています。
税務署はネットフリーランスを以下の6つに分類しています。
- ネット通販
- コンテンツ配信
- ネットオークション
- ネット広告
- ネットトレード
- その他
アフィリエイト、メルマガ、youtube、ネット転売(メルカリなど)もすべてネット事業に入ります。
「電子商取引専門調査チーム(通常サイバー税務署)」を作って今後取り締まりを強めていくようなので、今後はますます上記の業種での摘発例が増えていくでしょう。
4.無申告のネットフリーランスが摘発されるケースも増えている
実際、最近では税務調査で無申告のネットフリーランスが摘発されるケースが増えているといいます。
弱小アフィリエイターや零細のデザイナー、ウェブディレクターやライターなど個人の少額な収入でも、取引先の企業に税務調査が入ったことやたれ込み、税務当局による各種調査などによって税務当局に知られる可能性などがあり、逃れるのは困難です。
5.確定申告をきちんと乗り越えるコツ
きちんと税金を計算して確定申告していれば、上記のようなリスクを恐れる必要はありません。
記帳や申告を税理士に任せているならおそらく問題ないはずですし、自分でやっているなら毎日コツコツ記帳して、時期が来たら確定申告は早めに行いましょう。
日々の仕事に追われると売上げや経費の記帳が後回しになりがちですが、後回しにすると溜まってしまって大変になります。
最近では無料や安価で利用できる確定申告・記帳用のソフトがあるので、その都度きっちり記帳していきましょう。
こちらの弥生会計はクラウド会計ソフトで5年連続NO1のシェアを誇ります。
白色でも青色でも利用可能。青色なら一気に10万円も控除を受けられるので、収入があるなら青色、まだ所得が少なければ白色を使ってみて下さい。
確定申告書自身は国税庁の確定申告作成フォームを使えば作成できます。
6.ふるさと納税について
税額を抑えたい方には、ふるさと納税を是非ともお勧めします。
ふるさと納税したら、寄付した金額に応じて返礼品がもらえます。また寄付金から一定額が所得から控除されるので、納める税額が低くなります。
クレジットカードで買い物をする感覚で商品を選び、寄付をしたら、後は確定申告時に「寄付金控除」の欄に入力して寄付金控除の証明書をつけて税務署に提出するだけです。
ふるさと納税しなかったら単に税金を払うだけですが、ふるさと納税をしたら返礼品がもらえるので、その分明らかに得です。
とても簡単なので、もし昨年しなかった方はぜひ来年やってみてください。
ふるさと納税するなら「さとふる」がお勧めです。大手で掲載されているお礼品の種類が多いですし、すぐに発送してもらえるので届くのが早いです。
いくらまで寄付できるかのシミュレーションなどもついているので、よかったらぜひ利用してみて下さい。
私も昨年スーツケースなどをもらいました。1週間くらいですぐ届きましたし、旅行に便利で重宝しています(^^)v
7.将来導入されるインボイス制度について
今はまだ導入されていませんが、2023年10月からインボイス制度が開始されます。
インボイス制度とは、消費税の課税事業者が発行する「適格請求書」のみを消費税の仕入れ控除に適用する制度です。
このことが大きく影響するのは、企業と取引をされているライターさんなどのフリーランスです。
今は、ライターさんが請求書を送って支払いを受けると、相手企業はライターさんに消費税を払ったことになって自社の消費税申告の際にその金額を差し引けます。
しかし2023年10月からは「課税事業者(消費税を払っている事業者)であるライターさんが発行した適格請求書」でないと消費税を払ったことにしてもらないのです。
つまり「免税事業者(消費税を払っていない事業者)であるライターさんと取引をしたら、控除が認められないので企業が納める消費税額が高くなってしまう」可能性があります。
そうなってくると、企業は「免税事業者」とは取引をせずできるだけ「課税事業者」と取引しようとしますよね?
今は3年前の売上げが1,000万円を超える人だけが課税事業者(消費税を払わねばならない事業者)ですが、将来的には1,000万円以下の売上げの方も課税事業者となることが可能となります。
課税事業者になれば当然消費税を払わねばならないので手元に残るお金は減りますが、先にも述べた通り相手方にしてみれば免税事業者と取引するメリットが小さくなるので「仕事が減る」可能性が高まります。
売上額が1,000万円に届かない方も将来的にはあえて課税事業者となった方が良い可能性があるので、よかったら今から考えておいてみて下さいね。
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