フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol1
会社を経営している場合、売上げも上がって利益がたくさんでて好調な時期もあれば、売上げが下がり経費がかさんで経営が苦しくなることもあります。
経営状況が悪くなったときには、早めに事業再生計画(経営改善計画)を立てて、経営改善の努力を始めましょう。早く手を打てば打つほど、とりうる選択肢も多くなり、ダメージを小さくすることができるからです。
今回は、会社経営が苦しくなった場合の効果的な事業再生計画の立て方について、元弁護士のライターぴりかが解説します。
1.債務超過の状態になった場合の2つの選択肢
企業の収益状況が悪化して、このままでは経営が立ちゆかなくなるおそれがある場合、2つの選択肢があります。1つは事業再生による方法、もう1つは倒産(破産)です。
事業再生に成功すれば会社を残すことができますが、倒産した場合には会社はなくなってしまいます。
対応を開始する時期が遅くなると、再生が難しくなって破産するしかなくなることが多いです。
借金を支払えなくなってからでは遅いので、まだ支払いが出来ているうちに、早期に事業再生計画を立てましょう!
2.事業再生計画書とは
事業再生計画(経営改善計画)とは、経営に行き詰まった会社が今後どのようにして立ち直っていくかを説明するための計画で、事業計画書は、その事業再生計画をまとめた書類です。
事業再生のために借り入れを行う際には、金融機関に事業再生計画を提示して、融資の可否の判断材料にしてもらいます。
また、事業再生のためにはスポンサーが必要になることが多いですが、事業再生計画を示して他企業にプレゼンを行うことができるので、説得的な事業再生計画を作っていると、スポンサーを集めやすく、再生に成功しやすいです。
現在の借入先と交渉をしてローン支払い方法のリスケジュールをしてもらう際にも、事業再生計画書を提出するものです。
このように、事業再生計画は、事業再生の骨となるものなので、しっかりとしたものを作成しましょう。
3.事業再生計画の立て方
事業再生計画を立てる際には、まずは今の経営状況のどこに問題点があるのかを考えます。
たとえば営業力が低下しているのか、販売数が減っているのか、また販売単価が下落しているのか、人員が増えすぎているのか、生産性が落ちているのかなど、企業によってさまざまな収益悪化原因があります。
これらの問題点が明らかになったら、それぞれについて改善するため方法を検討しましょう。
その上で、売上げと経費や借入金返済などの支出を一覧にした、収支計画を立てます。
今後の経営改善努力によって改善された後の予想売上げや、減額できる経費、借入金返済などを前提にして、今後3期くらいの分を作成します。このとき、年度別の予想損益計算書や貸借対照表も作成すると良いでしょう。
日本政策金融公庫の「経営改善計画書」の記入例があるので、参考にすると便利です。
http://www.n-takeda.com/image/B2FEC1B1B7D7B2E8B5ADC6FECEE3.pdf
4.事業再生の流れと事業計画書の使い方
事業再生を行う場合の流れと、具体的な事業計画書の使い方をご説明します。
4-1.リスケジュール
事業再生の際、まず検討するのはリスケジュールです。リスケジュールとは、ローンの返済期間や利息などの返済方法について金融機関と話合い、支払い可能な範囲に再設定することです。リスケジュールに成功すると、月々の支払い額が減額されるなどして、債務の支払いを継続していけるのです。
金融機関に事業再生計画書を提示して確実に債務の支払いができることを示し、交渉を行いましょう。
4-2.債務免除
リスケジュールだけでは再生が難しい場合には、一部や全部の債務免除をしてもらう必要があります。事業再生計画書やその他の資料を示して、債務免除をしてもらったら、企業が確実に再生していけることを説明し、債務免除に応じてくれるよう説得しましょう。
4-3.新規借り入れ
債務超過の企業であっても、今後再生の見込みがあって収益の改善が見込まれる場合には新規の借り入れをすることも可能です。このときにも、事業再生計画が参考資料とされます。
4-4.スポンサー探し
事業再生では「スポンサー」が必要なケースがあります。信用の高い企業にスポンサーになってもらえたら事業再生が成功しやすくなりますが、スポンサーになるかどうかを判断する際にも、やはり事業再生計画書を提示して、企業の将来性について検討してもらうことになります。
以上のように、事業再生を行う際、事業再生計画書が極めて重要です。効果的な作成方法がわからない場合には、税理士などの専門家に相談すると良いでしょう。
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