フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol1
起業する際には、会社を設立する方法と個人事業によって起業する方法がありますが、会社を設立する際にはいろいろな手続きが必要です。
具体的にどのような手順で会社設立の手続きを進めるのかについて、知っておくといろいろ役に立ちますよ!
今回は、元弁護士のライターぴりかが、会社設立の流れをわかりやすく解説します。
1.まずは事業目的を決める
起業をする場合には、まずは事業の目的を決めましょう。どのような内容の事業を行うかということです。
たとえば飲食店を始めるのか、美容院を始めるのか、商品の販売を行うのか、フランチャイズ契約をするのかなど、いろいろな事業内容があるので、自分のやりたいこと、収益を上げられそうなことに狙いを定めましょう。
2.名前(商号)を決定する
会社を設立する際には、会社の名称(商号)を決める必要があります。商号は、会社の顔となるので、慎重に決めたいところですよね。
会社の名前には、必ず会社の「種類」を入れなければなりません。たとえば「株式会社」や「合同会社」などのことです。これらの会社の名称は、前についていてもかまいませんし、後についていてもかまいません。
前についている場合には「株式会社〇〇」となりますし、後についている場合には「〇〇株式会社」となります。
また、会社の名称に利用できる文字や記号も決まっているので、その中で商号を決める必要があります。
さらに、同じ本店住所地で、同じ商号を利用することはできないので、類似商号がないかどうか、法務局で確認しましょう。
3.定款を作る
商売の内容と商号が決まったら、定款を作ります。定款とは、会社の基本となる決まりのことです。その会社内で通用する法律のようなものだと理解するとわかりやすいです。
定款には、必ず定めなければならない事項とそうでない事項があります。
必ず定めないと行けない事項のことを絶対的記載事項と言いますが、具体的には、以下の通りです。
3-1.事業目的
事前に決めていた事業の目的を書き入れましょう。また、すぐには取り組まないけれども、将来取り組む可能性がある事業内容についても、当初の段階から定款に書き入れておくと後の手間を省けます。もし書き入れていなかったら、将来その事業を行う際に、いちいち定款変更の手続きが必要になって煩雑だからです。
なお、事業目的の末尾に「前の各号に関する業務の一切」などと記載していたら、今の事業目的に関するものである限り定款変更の必要がなくなるので、お勧めです。
3-2.本店所在地
次に、本店所在地を決める必要があります。
本店所在地については、最小行政区画まで記載します。最小行政区画とは、たとえば東京23区の場合は区までということです。ただし、番地まですべての住所を記載してもかまいません。
3-3.設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
出資を受ける場合、その財産の価格または最低額を記載する必要があります。これは、株式「数」ではなく「額」を記載しなければなりません。また、ここに記載した金額が会社の「資本金」となります。
3-4.発起人の氏名又は名称及び住所
定款には、発起人の氏名と住所を記載しなければなりません。法人が発起人となることもできますが、その場合には法人の名称を書き入れます。
印鑑証明書に記載されている氏名や住所を引き写しましょう。
3-5.発行可能株式総数
発行可能株式総数も定款に定める必要があります。定款認証までの間に定めない場合には、会社が成立するまでの間に定款変更をして、定めを行う必要があります。
4.定款認証を受ける
会社の定款が作成出来たら、公証役場で「定款認証」という認証手続きを受けましょう。定款認証をする際には4万円の手数料がかかりますが、電子定款認証を利用すると、その4万円が不要になるので、お得です。
5.会社設立登記をする
定款認証が終わったら、いよいよ会社設立の登記を行います。会社の本店所在地を管轄する法務局で申請しましょう。
「登記申請書」を作成して、資本金の払込証明書、定款、発起人の決定書、取締役、代表取締役、監査役全員の就任承諾書、取締役の印鑑証明書、会社と代表者個人の印鑑届出書を添付して提出します。不備がなければ会社設立登記ができますが、そのとき、登記申請日が「会社設立日」となります。
6.税務署へ届け出る
会社設立登記ができたら、税務署への届出も必要です。
設立後2ヶ月以内に、法人設立届出書の提出が必要ですし、青色申告を利用したい場合には、青色申告の承認申請書の提出もしておきましょう。
7.専門家に相談することができる
会社設立の際には、複雑な手続きが必要になるので、自分だけですすめるのが難しいケースがあります。この場合、税理士などの専門家の助言と援助があるとスムーズにすすめることができます。これから起業をしようという場合には、一度税理士に相談に行くと良いでしょう。
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