フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol1
交通事故に遭ったら、たいていの場合、加害者は「保険」に加入しています。その場合、保険会社と示談交渉をして、賠償金を支払ってもらうことができます。
しかし、中には自動車保険に加入していない加害者がいます。そんなときには、誰にどのような方法で賠償金の請求をしたら良いのでしょうか?
今回は、交通事故で加害者が無保険の場合の対処方法を、元弁護士で、多数の交通事故事件を解決してきた私が解説します。
1.無保険の車はどのくらいあるのか?
交通事故に遭ったとき、加害者が無保険のケースはどのくらいあるものでしょうか?
2015年のデータですが、交通事故損害賠償についての専門機関である「損害保険料率算出機構」が任意保険の加入率について調査した結果があります。
それによると、任意保険の「対人対物賠償責任保険」に加入している人は、73.8%です。
http://www.tax-kyowa.com/img/pdf/pdf_11483_100_r90_free01_01_2_img.pdf
ただ、実際には中古車センターに置いてある車など公道を走っていない車もあるので、そういったものを差し引くと、もう少し加入率は上がるでしょう。
そうはいっても、だいたい2割程度の車は、任意保険に加入しないまま公道を走っていると考えられます。
交通事故に遭ったとき、10回のうち2回は相手が無保険である可能性がある、ということになります。これって、結構な割合ですよね?
2.加害者が無保険の場合の示談交渉
加害者が無保険だと、示談交渉はどのように進むのでしょうか?
この場合、保険会社が対応しないので、加害者本人と話合いをしなければなりません。すると、相手が逃げたり無視したりすることも多いです。特に物損事故の場合、刑罰が適用されないので、相手が軽く考えて逃げようとすることがあります。
また、相手が「お金がないから支払えない」と開き直ることもありますし、示談が成立したはずなのに、約束通りに支払ってくれないこともあります。
このように、相手が無保険だと、被害者にとってはさまざまな困難な状況が発生してしまうのです。
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3.加害者が無保険の場合の対処方法
交通事故の加害者が無保険の場合、どのように対応したら良いのでしょうか?
3-1.相手が無視するなら、内容証明郵便で請求書を送る
まずは、相手が無視する場合の対処方法から見てみましょう。
この場合には、まずは相手に内容証明郵便で、損害賠償金の請求書を送ってみル事をお勧めします。これにより、相手が話し合いに応じてくる可能性があります。
内容証明郵便を送っても無視されるようなら、裁判を起こすか、調停やADRを利用して解決することができます。
3-2.示談交渉できないなら、調停、ADR、訴訟をする
相手と示談交渉をしても話合いがまとまらない場合、ADRや裁判所の調停、訴訟を利用する方法があります。
第三者機関が関与すれば話合いができそうなら調停やADRを利用すると良いですし、第三者が関与しても話ができそうになければ、いきなり訴訟をすると良いでしょう。
3-3.小さな事故なら、少額訴訟を利用する
小さな事故の場合には、少額訴訟の利用もお勧めです。少額訴訟は手続きも簡単なので、被害者が自分一人でも進めやすいですし、1日で判決まで出してもらえるのでとても迅速に解決できます。
3-4.通常訴訟なら、弁護士に依頼する
少額訴訟ができるのは請求額が60万円以下のケースのみであり、それを超えるならば通常訴訟が必要となります。通常訴訟を素人の方が一人で進めるのは無謀ですので、裁判をするなら必ず弁護士に依頼することをお勧めします。
3-5.自賠責保険に被害者請求する
相手にお金がなくて本当に支払いを受けられない場合には、相手の自賠責保険に対して被害者請求をしましょう。そうすると、最低限自賠責保険からの支払いを受けることができるからです。
被害者請求とは、被害者が相手の自賠責保険に直接請求する手続きです。交通事故証明書を見て相手の自賠責保険を調べて「被害者請求をしたいです」と連絡してみましょう。
3-6.政府保障事業を利用する
相手が自賠責保険にも加入していない場合には「政府保障事業」という制度を利用して、自賠責保険の金額に相当するお金(てん補金)を受け取ることができます。
政府保障事業を利用したい場合には、お近くの損害保険会社の窓口に行くと申請をすることができます。
4.相手が無保険で困ったら、弁護士に相談してみよう!
交通事故に遭ったとき、加害者が無保険だと被害者にはさまざまな困難が発生します。後遺障害が残ったのに、認定も受けられないし、必要な賠償金を受け取れない、という方もおられます。
そのような不利益を避けるためには、弁護士に相談することが有効です。
弁護士に相談すれば、ケースごとの最善の対処方法を教えてくれますし、後遺障害認定を受けたり慰謝料を支払ってもらったりすることも可能です。
まずは弁護士のウェブサイトを確認して、交通事故に力を入れている事を確認してから、問合せを入れてみましょう。
また、弁護士保険MIKATAに加入しておくと、弁護士に無料で電話相談できますし、法律トラブルが起こったときに安心です。関心があれば、資料請求してみても良いと思います。
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