フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol1
交通事故が発生すると、被害者が死亡してしまうケースがあります。
そのような場合、誰が加害者に対して損害賠償請求を進めたら良いのでしょうか?
家族が何人かいる場合、誰かが代表して保険会社と示談交渉を進めることになるのか、その代表者はどうやって決めたら良いのかが問題となります。
今回は、死亡事故における示談交渉の進め方について、元弁護士で交通事故事件を多数取り扱っていた私が説明をします。
1.損害賠償請求権は「相続」される
交通事故で被害者が死亡すると、本人が加害者に損害賠償請求することができません。
だとしたら、誰が示談交渉を進めたら良いのでしょうか?
一般的には「遺族」「家族」が示談交渉をすると思われています。
ただ、遺族や家族が何人もいるケースもありますが、その場合、どこまでの範囲の遺族にどれだけの権利が認められるのか、明らかにしなければなりません。
交通事故の損害賠償請求権は、相続の対象であると考えられています。そこで、被害者が死亡した瞬間に、損害賠償請求権は「法定相続人」に相続されます。
法定相続人は、以下の通りです。
- 配偶者は常に法定相続人
- 配偶者以外では、子どもが第1順位の法定相続人
- 子どもがいない場合、親が第2順位の法定相続人
- 子どもも親もいない場合、兄弟姉妹が第3順位の法定相続人
基本的に、このルールに従って法定相続人を確定します。
2.相続人の代表者が決まらないケースがある
ただ、上記のようにして法定相続人を定めたとしても、示談交渉がスムーズに進まないことがあります。
たとえば、配偶者と親や配偶者と兄弟姉妹が相続人になったとき、両者の折り合いが悪くて連携できないケースもありますし、相続人の中に非協力的な人物が混じっていることもあります。
そのような場合、他の相続人と折り合いが悪いからと言って、相続人が個別に示談交渉を進めようとしても、難しいです。なぜなら、保険会社は相続人らに対し、代表者を定めてまとまって示談交渉をするように求めてくるためです。
個々の相続人がそれぞれ損害賠償請求をしようと思ったら、訴訟を起こすしかありません。
このような問題があるので、相続人が代表者を決められない場合、いつまで経っても、示談交渉を開始できない可能性があるのです。
3.時効の問題
かといって、賠償請求をせずにずっと放っておくことはできません。損害賠償請求権には時効があるからです。
死亡事故の場合、死亡日の翌日から3年が経過すると、損害賠償請求権が時効消滅してしまいます。
そこで、相続人が複数いる場合には、何とかまとまって代表者を決めないと全員が大きな不利益を受けることになります。
4.弁護士に依頼するメリット
このように、相続人が複数いてスムーズに損害賠償請求を進められない場合、弁護士に示談交渉を依頼すると大きなメリットを受けられます。
相続人全員が弁護士に示談交渉を依頼すると、弁護士が窓口となって示談交渉を進めることができるからです。
相続人同士の折り合いが悪くても非協力的な相続人がいても、とりあえず弁護士に依頼してしまったら、後は弁護士が適宜話し合いをすすめ、相続人らに状況を報告して、最善の解決を目指せます。
賠償金が返ってきたら、そのときには基本的に法定相続分に従って分配すれば良いだけなので、争いにはなりにくいですし、分け方について疑問がある場合には、弁護士がアドバイスをしてくれるでしょう。
それだけではなく、弁護士に依頼すると、裁判基準が適用されるので、賠償金が大きく上がります。たとえば死亡慰謝料は、弁護士に依頼するだけで1000万円程度増額されることも珍しくありません。
以上のようなことから、死亡事故が起こったときには、弁護士に依頼する必要性が高いと言えます。
交通事故に強い弁護士は、無料相談を実施していることもよくあるので、事故に遭われたり事故で大切なご家族を亡くされたりした場合、一度お早めに弁護士に相談されることをお勧めします。
まずはウェブサイトをチェックして、交通事故に力を入れていることを確認してから申込みをしてみましょう。
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