債務整理

てるみくらぶ代表が破産犯罪で懲役6年!詐欺破産罪が成立するケースとは?

旅行会社てるみくらぶは、資金繰りが悪化して倒産手続きに入っていましたが、先日代表者が「破産犯罪」によって再逮捕されたことが大きく報道され、今回懲役6年の刑が確定しています。

破産犯罪とは、いったいどのような罪なのでしょうか?一般にはあまりなじみがないため、「?」と感じている方が多いと思います。

今回は、てるみくらぶの代表者が逮捕されたという「詐欺破産罪」について、元弁護士の私が解説します。

1. てるみくらぶの破産について

今回、てるみくらぶの代表者は破産犯罪によって再逮捕されたと報道されていますが、状況がよくわからない、という方も多いでしょう。

 

そこで、まずは、そもそもてるみくらぶとは何か、今どういう状況になっているのか、簡単にご説明します。

 

てるみくらぶは、旅行会社です。かつてネットを利用して格安で旅行を販売しており、利用者も多く、人気を集めていました。

ところが資金繰りが悪化して倒産し、2017年3月に東京地方裁判所で破産手続き開始決定を受けています。

会社だけではなく、代表者本人も個人破産を申請して、現在法人と個人の両方が破産手続き中です。

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また、てるみくらぶ代表者は、偽造の請求書等を利用して金融機関から4億円の融資を受けたことで「詐欺罪」となり、逮捕されていた経緯もあります。


2.詐欺破産罪とは

2-1.そもそも、詐欺破産罪とは?

今回、てるみくらぶ代表者は、破産手続き中にもかかわらず、1000万円のお金を隠していたことによって「破産犯罪」に問われています。

実は、破産犯罪にはいくつかの類型がありますが、今回は、その中でも「詐欺破産罪」が成立しているケースです。

詐欺破産罪とは、破産者が財産を隠匿したり毀損したりしたときに成立する犯罪です。破産法265条に規定されています。

自己破産をすると、基本的にすべての債務を無くしてもらうことができます。その代わり、破産者は、自分の所持する財産を、基本的にすべて失うこととなります。破産者の財産は、換金されて債権者に配当されるためです。

ところが、中には財産を隠したまま、借金だけなくしてもらおうとする人がいます。そのようなことは許されないため、詐欺破産罪として禁止されているのです。

2-2.詐欺破産罪が成立するケース

詐欺破産罪が成立するのは、以下のようなケースです。

破産手続き開始決定の前後において

  • 財産を隠匿または損壊した場合(破産法265条1項1号)
  • 財産の譲渡や債務負担を仮装した場合(同項2号)
  • 債務者の財産の現状を変えて、価値を減少させた場合(同項3号)
  • 財産を債権者の不利益な方法で処分したり、債権者に不利益な債務を負担したりした場合(同項4号)

 

また、破産者以外の人が、債務者の財産を取得したり、第三者に取得させたりした場合にも、詐欺破産罪となります(ただし、これについては破産手続き開始決定後や保全管理命令後に限られます)。(破産法265条2項)

すなわち、わかりやすく言うと、破産をするときに、財産隠しをしたり、債権者に嫌がらせをするために財産を毀損したりすると、犯罪になってしまうということです。



3.詐欺破産罪の刑罰

詐欺破産罪が成立した場合の刑罰は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金刑となっており、非常に重いです。
今回、検察官は懲役8年を求刑しましたが、裁判所は懲役6年の実刑判決を下しました。
これから彼女は刑務所に行き、6年服役しなければならないのです。

4.詐欺破産罪と詐欺罪は全然違う犯罪

ところで、一般には「詐欺破産罪」と「詐欺罪」が混同されていることが多いのですが、これらは全く異なる犯罪です。

詐欺罪は、相手を騙してお金を取る犯罪行為です。てるみくらぶの代表も、以前に虚偽の請求書を提出して金融機関からお金をだまし取ったので、「詐欺罪」となっています。詐欺罪は、刑法内に規定されている一般的な犯罪です。破産者以外でも、人を騙してお金を取ったら詐欺罪です。

これに対し、詐欺破産罪は、「破産するにもかかわらず、財産を隠したり処分したりした罪」です。つまり、「詐欺」とは言っても、実際に誰かを騙してお金を取っているわけではなく、財産隠しの犯罪です。

なお、てるみくらぶ代表者は、詐欺破産罪だけではなく実際の詐欺罪も行っているので、余計に罪が重くなっています。

5.詐欺破産罪で逮捕されるのは珍しい

このように、破産するときに財産隠しをすると詐欺破産罪が成立する可能性がありますが、財産隠しをしたとしても、実際に逮捕されることは珍しいです。

立件されるのは年に20~30件程度ですし、起訴される件数はさらに減って年に数件程度です。

てるみくらぶの件では、以前にも代表者が銀行に詐欺行為を働いたりしており、悪質とみなされているのです。



6.免責不許可事由に該当する

財産隠しによって詐欺破産罪が成立する場合、免責不許可事由に該当するので、免責を受けられなくなる可能性が高くなります。一般的な破産事件では、詐欺破産罪よりもこちらの問題の方が大きくなるケースが多いです。

てるみくらぶの場合には、刑事事件と免責不許可事由の両方の問題が発生してくるでしょう。

 

以上のように、てるみくらぶ代表は、民事刑事の両方の問題で責任を追及されることが予想されます。

今後、起訴されて刑事裁判になるのか、その場合どのくらいの刑罰が適用されるのか、さらには破産手続きによって免責が認められるのか免責不許可になるのか、注目していきたいところです。

最後に

自己破産を進めるときに財産隠しをすると、詐欺破産罪が成立する可能性がありますし、免責不許可事由に該当して免責を受けられなくなる可能性が高まります。

破産するときには、惜しいと感じても財産を隠さず正直に全部申告することが何より重要です。

頼りになる弁護士を探して、確実に債務を0にしてもらいましょう。

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もしも詐欺破産罪などで逮捕が心配なら、刑事事件に強い弁護士を探しましょう。

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ABOUT ME
福谷陽子
弁護士としての経験を活かして、法律・不動産の専門記事を執筆。多くの法律事務所様や不動産会社様、法律・不動産系メディア様からご依頼をお受けしております。 難しい法律や税務、不動産の知識をわかりやすく伝えるのがモットー。 何より目指すのはお客様の利益です。

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