交通事故

元モーニング娘。の吉澤ひとみが飲酒運転ひき逃げで逮捕!刑罰の相場は?

2018年9月6日、人気アイドル「モーニング娘。」の元メンバー、吉澤ひとみさんが飲酒運転ひき逃げの罪で逮捕されたというショッキングなニュースが流れました。

 

飲酒運転でひき逃げというと、非常に悪質なイメージがありますが(実際悪質です)、どのくらいの刑罰を適用されるのでしょうか?

 

今回は、元モーニング娘。も吉澤ひとみさんの飲酒運転ひき逃げ事件で今後どのような刑罰が適用されるのか、成立する犯罪と量刑の相場を解説します。

 

1.モーニング娘。吉澤ひとみさんの起こした飲酒運転・ひき逃げ事故の概要

まず、今回の事件がどのようなものだったのか、知っておきましょう。

 

モーニング娘。の元メンバー・吉澤ひとみさんは、2018年9月6日午前7時前、東京都中野区の都道において、酒気帯び状態で車を運転して赤信号の交差点に進入しました。飲酒運転していたということです。

その状態で自転車に乗っていた女性の被害者に衝突して転倒させ、そのまま逃げてしまったのです。

被害者の女性は隣にいた歩行者の男性も巻き込んで倒れたため、男性も軽傷を負いました。

 

…かなり悪質ですね!

 

吉澤ひとみさんは15分くらいが経過してから「自転車をひきました」と110番通報して、現場に戻ってきたそうです。後で戻ってきても「ひき逃げ」になってしまいます。

 

また、吉澤さんは昨年9月にも交通事故(貨物自動車との接触事故)を起こしていたそうなので、もともと運転に難があったのかもしれません。

 

2.飲酒運転・ひき逃げで成立する犯罪

今回、元モーニング娘。の吉澤ひとみさんは「飲酒運転・ひき逃げ」で逮捕されています。

飲酒運転・ひき逃げをすると、どのような犯罪が成立するのでしょうか?

 

この場合に成立する罪は「飲酒運転の罪」「ひき逃げの罪」「人身事故の罪」の3種類です。

以下で順番に説明します。

 

2-1.飲酒運転の罪

飲酒運転は、「道路交通法」によって禁止されています。

そして飲酒運転には、2つの種類があります。

1つは酒気帯び運転、もう1つは酒酔い運転です。

酒気帯び運転とは

酒気帯び運転とは、血中アルコール濃度が、1ミリリットル中0.3ミリグラム以上、または呼気1リットルの中に0.15mg以上のアルコールが検出された場合です。つまり「どのくらいのアルコールが検出されたか」によって犯罪の成否が決まります。

 

酒気帯び運転の刑罰は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

 

酒酔い運転とは

酒酔い運転とは、酒に酔って酩酊状態となり、正常に運転できないのに運転した場合です。血中や呼気内のアルコール濃度とは関係なく「酩酊状態でまともに運転できない状態」であれば酒酔い運転となります。お酒に弱い人は酒酔い運転が成立しやすいということですね。

 

この場合の刑罰は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金刑です。

 

吉澤ひとみさんの場合、酩酊状態ではなかったので酒気帯び運転ですが、呼気1リットルあたり0.58ミリグラムのアルコールが含まれていたということです。

基準値0・15ミリグラムの4倍にも及んでおり、悪質な事案です。

 

2-2.ひき逃げの罪

次にひき逃げの罪をみてみましょう。

ひき逃げも道路交通法違反です。

道路交通法は、交通事故を起こした当事者に以下のような義務を定めています。

  • 被害者を救護して交通事故現場の危険を除去すること(救護義務、危険防止措置義務)
  • 警察に通報すること(報告義務)

 

ひき逃げをすると、この被害者への救護義務や危険防止措置義務、警察への報告義務に違反することになります。

救護義務違反の罪は、10年以下の懲役または100万円以下の罰金刑で、警察への報告義務違反の罪は、3か月以下の懲役刑または5万円以下の罰金刑です。

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2-3.人身事故の罪

飲酒運転・ひき逃げをした場合、「人身事故を起こした」ことによる罪も成立します。

人身事故の罪にも2種類があります。

過失運転致死傷罪

過失によって人身事故を引き起こすと「過失運転致死傷罪」という罪が成立します。

過失運転致死傷罪とは、不注意で交通事故を起こし、人に怪我をさせたり死亡させたりしたときに成立する罪です。

過失運転致死傷罪の刑罰は、7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金刑です。

 

危険運転致死傷罪

もしも酩酊状態などの危険な状態で運転していたら、「危険運転致死傷罪」という別の重い罪が成立します。

危険運転の場合、被害者が怪我をしたら15年以下の懲役刑、死亡したら1年以上20年以下の懲役刑となります。

 

吉沢さんの場合には、おそらく「過失運転致傷罪」となりますが、今後の捜査の進行によっては危険運転致傷罪になる可能性もあります。

 

2-4.飲酒運転・ひき逃げの刑罰とは|すべて合算したらどうなるのか?

以上のように、飲酒運転・ひき逃げをすると、とてもたくさんの罪が成立してしまいます。

処罰されるときにはすべて合算されるのでしょうか?

 

刑罰を足すときには一定のルールがあります。上記のようなケースでは、懲役刑のもっとも重い刑罰を1.5倍にして、罰金刑についてはすべての罰金の合計額以下で処断されることになります。

 

すると、過失運転致死傷罪が適用される場合で最大15年もの懲役刑を科される可能性があります。

危険運転致傷罪の場合には22.5年以下の懲役刑、危険運転致死罪の場合には最大30年以下の懲役刑となります。

こうなってくると、交通事故1つで「人生が終わった…」という感じがしますね。

やっぱり飲酒運転・ひき逃げは絶対にやってはいけません。

 

吉澤ひとみさんの場合にも、最大懲役15年になる可能性があるということです。

飲酒運転って、怖いですよね…!

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3.飲酒運転・ひき逃げの刑罰の相場

飲酒運転でひき逃げすると、実際にはどのくらいの刑罰が適用されることが多いのでしょうか?

 

飲酒運転・ひき逃げは非常に悪質な犯罪なので、起訴(刑事裁判)は避けられません。また、簡単な書類上の審査である「略式裁判」にしてもらうこともできず、法廷で開催される、「通常の刑事裁判」になります。

そこで、被告人は実際に法廷にいって、裁判官に裁かれることになりますし、検察官による尋問や追及を受けます。

 

また、飲酒運転・ひき逃げには罰金刑もありますが、実際に適用される刑罰は懲役刑になることが多いです。

特に悪質な事案や被害者が死亡した場合、交通前科がある場合などには実刑になる可能性も高まります。

吉澤ひとみさんの場合、被害者は軽傷だったそうなので、おそらく「過失運転致傷罪」となり、懲役1年から1年6か月となって3年程度の執行猶予がつくと考えられます。

 

ただし危険運転致傷罪となれば、懲役3年、執行猶予5年か、実刑判決になる可能性もあります。

 

4.飲酒運転・ひき逃げで逮捕されたら

吉澤ひとみさんは、まだ逮捕されたばかりなので、これから取り調べが続きます。

勾留されたら20日以内に検察官が起訴するか不起訴にするかを決定します。

起訴されたら正式に刑事裁判が開かれて、数か月以内に裁かれて判決が出ます。

 

これから吉澤ひとみさんにどのような刑罰が適用されるのか、目が離せませんね。

 

5.交通事故に備えるため、保険に加入しておこう

飲酒運転やひき逃げはしないとしても、通常の交通事故であれば、誰でも起こしてしまう可能性があります。

そこで車を運転するのであれば、弁護士費用を負担してもらえる保険に加入しておくことをお勧めします。

刑事事件になったときになるべく刑罰を軽くするには弁護士によるサポートが必要だからです。弁護士であれば、逮捕されてもすぐに接見に来てくれますし、逮捕直後から被害者と示談を進めるなどの弁護活動をすることで、処分を軽くできるのです。

 

また、交通事故では加害者ではなく被害者になる可能性もあります。吉沢ひとみさんのように悪質なひき逃げ犯に遭って大けがをしたら、きちんと賠償金を支払ってもらわないと大変です。

そんなとき、弁護士に依頼すると高額な弁護士費用がかかりますが、今は自動車保険に「弁護士費用特約」をつけられるので、自動車保険に加入するときには必ずつけておきましょう。弁護士保険特約に加入していたら、交通事故にかかる弁護士費用を300万円まで自動車保険が負担してくれます。特約によって上がる保険料は年額1300円くらいなので、けちけちせずに入っておくべきです。

今の自動車保険に弁護氏費用特約をつけていない場合、是非とも見直してみてください。

また、「弁護士保険」に入る方法もあります。弁護士保険とは、身近な法律トラブル全般にかかる弁護士費用を負担してもらえる保険です。

交通事故に関係のないあらゆる法律トラブルで弁護士費用を出してもらえるので、自動車保険の弁護士費用特約よりも適用範囲が広いです。たとえば貸したお金が返ってこない、離婚、相続、不動産問題などで弁護士が必要になったときにも利用できます。

年額2980円の保険料がかかりますが、受けられる補償内容からすると決して高くはありません。

もしよかったら、こちらの記事をお読みいただいて、関心があったら資料請求してみてください。

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また、吉沢ひとみさんの件について進展があれば、追加で報告をしたいと考えています。

ABOUT ME
福谷陽子
弁護士としての経験を活かして、法律・不動産の専門記事を執筆。多くの法律事務所様や不動産会社様、法律・不動産系メディア様からご依頼をお受けしております。 難しい法律や税務、不動産の知識をわかりやすく伝えるのがモットー。 何より目指すのはお客様の利益です。

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