交通事故

交通事故の賠償金の種類と相場はどれくらい?

交通事故に遭ったときには、加害者の保険会社に対して損害賠償請求をすることができることは有名です。このとき、具体的にどんな損害が発生して、どのくらい賠償金を請求できるか、ご存知でしょうか?交通事故の賠償金は「慰謝料」だけだと思われていることが多いのですが、実はそれは間違いです。

 

今回は、交通事故の賠償金の種類と相場について、元弁護士のライターぴりかが解説します!

 

1.交通事故の賠償金は、慰謝料だけじゃない!

交通事故の賠償金=「慰謝料」と思われていることがとても多いのですが、そうではありません。

なぜなら、賠償金は慰謝料だけではないからです。

慰謝料というのは、精神的苦痛に対する賠償金です。

交通事故の損害は、精神的苦痛だけではありません。

事故に遭ったら、治療費もかかりますし、交通費や入院雑費、休業損害なども発生しますよね?こういったものも、すべて賠償金に含まれます。

だから、慰謝料は賠償金の一部なのです。まずは、このことをしっかり理解しておきましょう。

 

そして、交通事故の損害は、積極損害と消極損害、精神的損害に分けることができます。

以下で、詳しくご説明します!

 

2.積極損害

積極損害とは、被害者が実際に支払いをしなければならない支出のことです。

積極的に支払わないといけないので「積極損害」です。

たとえば、以下のようなものが該当します。

2-1.治療費

病院でかかった治療費です。かかった実費について、必要かつ相当な金額を請求することができます。

2-2.付添看護費

看護にかかった費用です。入院して近親者が付き添ったケースでは、1日当たり6500円程度が支払われます。

2-3.入院雑費

入院したときにかかる雑費の費用です。入院1日について1500円程度が支払われます。

2-4.通院交通費

通院にかかった交通費です。実費の請求ができます。必要があれば、タクシー代も請求できます。

2-5.器具装具の費用

義眼や義足などの費用です。実費を請求できます。

2-7.介護料

後遺障害が残り、介護が必要になったときに請求できます。職業介護人か近親者かによって、計算方法が異なり、職業介護人の方が、高額になります。

 

2-8.診断書代、文書取り寄せ費用

病院で診断書を発行してもらったケースや交通事故証明書を取り寄せた費用などです。

 

2-9.自宅改装費用、車の改装費用

後遺障害が残って介護や移動などのため、自宅や車の改装が必要な場合、その費用も請求することができます。

 

2-10.葬儀費用

死亡事故の場合、だいたい150万円を限度として葬儀費用の請求ができます。

 

 

3.消極損害

消極損害とは、交通事故によって得られなくなってしまった将来の収入です。

以下のものが該当します。

 

3-1.休業損害

休業損害は、交通事故によって働けなかったために得られなくなってしまった収入です。

仕事を休んだ分の損害と考えると良いでしょう。

1日の基礎収入に休業日数をかけた分を請求することができます。

 

  • 休業損害=1日あたりの基礎収入×休業日数

 

3-2.後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益は、後遺障害が残った場合に認められます。後遺障害が残ると、労働能力が低下して、それまでのようには効率よく働けなくなり、収入が下がると考えられます。そこで、将来にわたる減収分を損害として、相手に請求することができるのです。

後遺障害逸失利益は、事故前の基礎収入を基準として、就労可能年数に対応する分を請求できます。後遺障害の等級(程度、酷さ)が上がるほど、高額になります。

 

  • 後遺障害逸失利益=事故前の年収×労働能力喪失率×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

 

3-3.死亡逸失利益

死亡逸失利益は、被害者が死亡した場合の逸失利益です。死亡した場合には、全く働けなくなるので、就労可能年齢までの逸失利益が認められます。

ただし、死亡すると生活費がかからなくなるので、その分は控除されます。

 

  • 死亡逸失利益=事故前の年収×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

 

4.精神的損害=慰謝料

そして、精神的損害=慰謝料が発生します。慰謝料にも、以下の3種類があります。

 

4-1.入通院慰謝料

入通院慰謝料は、交通事故でケガをして入通院治療が必要になった場合の慰謝料です。

入通院期間が長くなればなるほど金額が上がります。

数十万~300万円程度までになることが多いです。

 

4-2.後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことに対する慰謝料です。

後遺障害の等級が上がるほど高額になります。

最低等級の14級なら110万円、最高等級の1級なら2800万円です。

 

等級 後遺障害慰謝料
1級 2800万円
2級 2370万円
3級 1990万円
4級 1670万円
5級 1400万円
6級 1180万円
7級 1000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

 

 

4-3.死亡慰謝料

被害者が死亡した場合には、死亡慰謝料が認められます。

被害者の立場により、2000~2800万円程度の慰謝料を請求することができます。死亡慰謝料は、被害者によって扶養されていた家族がいると、高額になりやすいです。

 

5.弁護士に依頼すると、賠償金が上がる!

交通事故の賠償金は、弁護士に依頼すると大幅にアップします。

弁護士が示談交渉をするときには、高額な「裁判基準」が適用されるためです。

被害者が自分で示談交渉をすると、より低額な「任意保険基準」で計算されるので、賠償金が2分の1~3分の1以下に減らされてしまうことも多いです。

たとえば、後遺障害14級の慰謝料の金額は、裁判基準なら110万円ですが任意保険基準なら40万円程度にしかなりません。

このようなことに気づかず、自分で示談交渉をして合意してしまったら、本来の権利が大きく損なわれることになります。

 

6.弁護士費用は無料になることもある!

弁護士に依頼したら費用がかかると心配されているかもしれませんが、今は多くの方が弁護士費用特約をつけています。弁護士費用特約を利用すると、自分が加入している自動車保険会社が弁護士費用を支払ってくれるので、弁護士費用を自分で支払う必要がありません。

もし弁護士費用特約をつけていない方であっても、弁護士に依頼すると大きく賠償金が上がるので、支払う費用よりメリットが大きくなることが普通です。

 

しかも、今はたくさんの弁護士が「交通事故の無料相談」を実施しています。

交通事故に遭われたなら、是非とも一度、交通事故に強い弁護士さんに相談してみて下さいね!

 

ABOUT ME
福谷陽子
弁護士としての経験を活かして、法律・不動産の専門記事を執筆。多くの法律事務所様や不動産会社様、法律・不動産系メディア様からご依頼をお受けしております。 難しい法律や税務、不動産の知識をわかりやすく伝えるのがモットー。 何より目指すのはお客様の利益です。

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