債務整理

任意整理の流れと進め方!借金問題を話合いによって柔軟に解決する方法

借金返済が苦しくなってきたら、「債務整理」による解決方法が有効ですが、債務整理の1つに「任意整理」があります。

任意整理はとても人気のある債務整理方法ではありますが、みなさまの中には、

 

「どのような方法で進めたら良いのかわからない」

「手続きの流れを知りたい」

 

という方がおられるかも知れません。

そこで今回は、債権者との話合いによって借金問題を柔軟に解決できる「任意整理」の流れについて、元弁護士のライターぴりかが解説します。

 

1.任意整理とは

任意整理とは、借入先の債権者と直接話合いをすることにより、借金を減額してもらったり支払期間を延ばしてもらったりする債務整理方法です。

これは、借金の整理方法である「債務整理」手続きの1種です。

任意整理の大きな特徴は、裁判所を使わないことです。裁判外で、直接借入先と個別に交渉をして問題を解決するので、法律などに縛られず、柔軟な解決をすることができます。

まず、合意後の利息は全額カットしてもらえるので借金の返済額が大きく減りますし、返済期間を延ばせば月々の支払い額も小さくなります。

 

任意整理をすると、月々の返済額が2分の1くらいになる方もたくさんおられます。

また、必要書類なども少なく、手軽に利用できます。

費用が比較的安いのも、任意整理のメリットです。

 

2.任意整理の進め方

任意整理をするときには、以下の手順で進めます。

 

2-1.債権者に取引履歴の開示を請求する

まずは、借入先の債権者に対し、取引履歴の開示を求めます。

取引履歴とは、契約当初から現在までの、すべての入金と出金の履歴です。

貸金業者は取引履歴を保存しなければならない義務を負っているので、請求すれば、借り入れた顧客に対して送付してきます。

業者により、早期に開示するところと遅いところがあります。

 

開示を受けたら、きちんと契約当初から今までの分が、抜け漏れなく開示されているかどうか、チェックしましょう。抜けていると、借金の計算が正確にできない可能性があります。

 

2-2.利息制限法に引き直し計算する

業者から取引履歴の開示を受けたら、それを「利息制限法」にもとづいて再計算します。

このことは、特に平成19年以前頃から借入をしていた方の場合に重要です。

平成19年以前に取引をされていた方の場合、利息制限法を超過した高い利率で借金を支払っている可能性があるからです。

その場合には、過払い金が発生していることがあり、過払い金請求ができるかもしれません。過払い金請求をすると、借金は返さなくて良くなりますし、反対にお金が戻ってくるので、大きなメリットがあります。過払い金請求については、また別記事で詳しくご説明します。

 

2-3.返済計画案(和解案)を作る

利息制限法に引き直し計算をすると、借金の正確な残高が明らかになります。

そこで、その残高にもとづいて、借金の返済計画(和解案)を作成します。

このとき、通常は、借金の元金のみを3~5年程度で返済する予定を立てます。

たとえば、借金が200万円残るケースであれば、毎月33300円ずつ、5年にわたって支払う(60回払い)などとします。

 

5年を超える返済期間を設定することも可能ですが、あまり返済が長くなると、相手が聞き入れず、和解が厳しくなることがあります。また、返済中に状況が変わる可能性(たとえば、結婚や失業、病気や怪我など)なども出てくるので、できれば5年以内に設定することをお勧めします。

 

2-4.交渉をする

返済計画案を送付すると、業者から返答があります。その内容で良いと言うことであれば、そのまま合意書を作成して和解します。

その内容では合意ができないと言うことであれば、もう少し話し合って条件を詰めなければなりません。

よくある問題は、毎月の支払金額が低すぎると言われたり、返済期間が長すぎると言われたりするパターンです。

ただ、無理な条件で和解すると、結局支払えなくなって任意整理に失敗してしまうので、粘り強く交渉して、確実に支払える範囲で和解しましょう。

 

2-5.合意する

合意ができたら、その内容を反映した合意書を作成します。

合意書は2通作成し、債権者と債務者が1通ずつ所持します。

返済は合意書作成の翌月頃から開始します。合意内容に従って完済したら、借金がすべてなくなります。

 

3.任意整理するなら弁護士に依頼すべき

任意整理をするとき、自分で手続きをするのか弁護士に依頼するのか迷われる方がいます。

 

ぴりかが元弁護士だから言うのではないですが、ここは弁護士に依頼される方をおすすめします。

債務者の方が自分で債権者と交渉すると、絶対的に不利になってしまうからです。

 

借りている立場で「返済が苦しいから減額してほしい」「利息はカットしてほしい」と言っても、債権者はなかなか聞き入れません。

また、債務者にはあまり知識がないので、業者に丸め込まれて不利な条件で和解させられてしまう可能性があります。

せっかく任意整理しても、不利な条件で和解したら、あまり返済が楽にならないこともあり、意味がありません。

 

弁護士に依頼したら、このような失敗はありません。

確実に利息をカットして、支払える範囲に減額して和解してくれます。

また、自分で交渉しなくて良くなるので、手間も省けますし、精神的にも非常に楽です。

さらに、弁護士に任意整理を依頼すると、そのときから債権者からの督促が「ぴたっ」と止むのです。

債権者は、弁護士介入後に債務者に直接連絡してはいけないという法律があるからです。

 

このように、任意整理するときに弁護士に依頼すると、多少は弁護士費用がかかっても、支払う費用以上の見返りがあります。

ご家族に秘密で任意整理することもできるので、借金問題にお困りの場合には、是非とも一度、債務整理に強い弁護士さんに相談してみてください!

ABOUT ME
福谷陽子
弁護士としての経験を活かして、法律・不動産の専門記事を執筆。多くの法律事務所様や不動産会社様、法律・不動産系メディア様からご依頼をお受けしております。 難しい法律や税務、不動産の知識をわかりやすく伝えるのがモットー。 何より目指すのはお客様の利益です。

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