フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol1
みなさまは、「医療過誤訴訟」といわれても、自分とは無関係なものだと思っているのではないでしょうか?
でも、実際には医療事故に巻き込まれる可能性は、どのような人にもあるものです。
医療ミスがあったときには訴訟以外にも解決手段がありますが、最終的に訴訟になってしまう件数はどのくらいあるのでしょうか?
今回は、全国の医療過誤訴訟の件数や平均審理期間について、元弁護士のライターぴりかが解説します。
1.医療過誤訴訟の件数
全国で、医療過誤訴訟はどのくらい起こっているのでしょうか?
この点については、裁判所に統計資料があります。
過去には年間1000件を超えていたこともありましたが、近年では、だいたい毎年800件くらいの事件が新しく起こって、毎年800件くらいの事件が解決しています。
この件数を多いと思うか少ないと思うかは、人それぞれですね。
ただ、実際に訴訟になっているのは800件でも、訴訟にならずに終わっているトラブルを含めると、かなり多い件数になるのは確かだと考えられます。
医療過誤が起こって訴訟になるのはほんの一握りだからです。
800件の下には水面下での医療トラブルが非常にたくさんあると考えて間違いありません。
そこで、医療を受けるときには、「自分も医療トラブルに巻き込まれるかも知れない」という意識を常に持って、トラブル予防に備える姿勢が重要です。
2.医療過誤訴訟の審理期間
次に、医療過誤訴訟の平均審理期間をご紹介します。
「裁判」というと、とても長い時間がかかるイメージがあります。
テレビのニュースなどを見ていると、何年も前の、ずいぶん昔に取り上げられていた事件の判決がようやく出た、という話が多く「今までかかったのか」と驚かれることも多いでしょう。
実際、通常の労働トラブルや離婚訴訟などでも1年近くかかりますし、交通事故トラブルでも6ヶ月~10ヶ月くらいはかかることが普通です。
それでは、医療過誤訴訟はどうなのでしょうか?
実は、医療過誤訴訟は、訴訟の中でもかなり難しいタイプの事件です。専門的な知識が要求されますし、資料も複雑で、カルテなどを読み解くのも難しいですし、医師による意見を聞くなどいろいろな対応が必要になるからです。
過去には、30ヶ月以上かかっていましたが、最近では裁判所や弁護士による努力もあり、審理期間が短縮されています。
ここ数年間は、だいたい24ヶ月くらいになっています。
医療過誤訴訟を起こすと、2年間くらいは裁判を続けないといけない、ということですね。
2年も裁判をしていると、本当に疲れます。へとへとになり、「もうどうでもいい」と思ってしまうこともあるかも知れません。
そんなときに、頼りになるのが弁護士です。医療過誤訴訟は専門的な分野ですので、専門的な知識とノウハウを持っている、良い弁護士を探して依頼することが大切です。
医療過誤訴訟は、患者にとって非常に難しい訴訟です。勝訴率はわずか2割と言われています。
なぜ難しいのか?
その理由についてはまた別の機会にご説明しますね。
今回は、医療過誤訴訟の件数と平均的な審理期間をご紹介しました。医療を受けるときや、トラブルに遭ったときの参考にしていただけましたら幸いです。
フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol2
フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol3