フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol1
リベンジポルノってご存知ですか?
リベンジポルノは、元彼女や元妻などに対する腹いせや嫌がらせのために、過去に撮影した性的な画像や動画をネットにアップしてしまうことです。
そのようなことをされると、被害者としては耐えられないほどの精神的苦痛を受けますよね?私だったら死にたいと思うかも知れません。また、ネット上に投稿された画像はどんどん拡散されてしまうので、被害が拡大するばかりです。
そんなとき、どうしたらよいのでしょうか?
今回は、リベンジポルノとそれを禁止する法律「リベンジポルノ防止法」について、元弁護士のライターぴりかが解説します。
1.リベンジポルノとその問題点
リベンジポルノは、元交際相手や配偶者が、交際中、結婚生活において撮影した裸の画像や性交渉をしているときの画像、動画などをネット上に公開することです。
相手に対して復縁を求めたけれども断られた場合や、別れたくなかったけれどもフラれてしまった場合、相手に対する嫌がらせや、反対に気を引くためなどに投稿するケースが多いです。
リベンジポルノが行われると、以下のような問題があります。
1-1.情報がどんどん広がる
いったんネット上に画像や動画が投稿されると、その情報はどんどん広まってしまいます。
それを見た人がコピーしたりダウンロードしたりしますし、自分のブログや他の掲示板などに転載することも多いからです。TwitterなどのSNSを通じても広まります。
1-2.いったん広まった情報は取消ができない
また、ネット上でいったん情報が広まってしまうと、なかったことにすることができません。元データを消したとしても広まった分をすべて消しきることは不可能だからです。
また、画像や動画を見た人の「記憶」にも残ってしまうでしょう。記憶は消しようがありません。その意味で、リベンジポルノは「取り返しのつかない犯罪」です。
1-3.被害者の権利(プライバシー権、肖像権)が著しく害される
リベンジポルノで公開される画像や動画は、交際中の裸の写真や性交渉をしているときの写真、動画などであり、極めて秘匿性の高いものです。このようなデータがネット上に公開されてしまったら、被害者の受ける精神的苦痛は計り知れないですよね?
しかもそれを消しきることができず、見た人の記憶に残ってしまうのですから、リベンジポルノは本当に恐ろしいです。
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2.リベンジポルノ防止法とは
このように、リベンジポルノ行為は非常に悪質な行為ですから、法律によっても厳しく禁止されています。具体的には、2014年に制定された「リベンジポルノ防止法」がリベンジポルノ行為を規制しています。
2-1.リベンジポルノ防止法の基礎知識
リベンジポルノ防止法が制定されたのは、かつて「三鷹ストーカー殺人事件」という事件が起こったことがきっかけです。この事件において、被害者の女性は元の交際相手の男性からストーカー被害やリベンジポルノ被害を受けた上、最終的に殺されてしまいました。本当に痛ましすぎる事件です。
この事件への反省から、リベンジポルノ防止法が制定されました。正式名称は「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(しじせいてきがぞうきろくのていきょうとうによるひがいのぼうしにかんするほうりつ)と言います。
長いですよね(><)。ぴりかも、法律って何でこんなに長くてややこしい名前なんだ?って思います。
正式名称を覚えなくても「リベンジポルノ防止法」で充分です。
2-2.リベンジポルノ防止法の罰則
リベンジポルノ行為をすると、リベンジポルノ防止法によって処罰されます。
具体的な罰則の内容は、以下の通りです。
- 性的な画像や動画をネット上に投稿した場合 3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑
- 画像や動画をアップするために性的な情報を提供した場合 1年以下の懲役または30万円以下の罰金刑
2-3.リベンジポルノ防止法は親告罪
リベンジポルノ防止法は、「親告罪」という種類の犯罪です。親告罪とは、被害者が刑事告訴をしないと犯人が処罰されないタイプの犯罪です。
そこで、リベンジポルノ被害を受けた場合、相手を処罰してもらうには刑事告訴する必要があります。
3.リベンジポルノ被害に遭わないために
リベンジポルノの被害に遭わないためには、たとえ交際中であっても性的な画像や動画の撮影をしないことです。交際中はどうしてもその場で盛り上がってそういった行為をしてしまいがちですが、後で別れたときに後悔することになります。その場のノリで撮影してしまったとしても、すぐに消してもらいましょう。
4.リベンジポルノ被害に遭ってしまったら
万一リベンジポルノ被害に遭ってしまった場合には、投稿されたサイトの管理者に連絡を入れて「権利侵害が行われているので早急に削除してほしい」と申し入れましょう。まともなサイトであれば、このことによって削除してもらえる可能性が高いです。
任意で削除してもらえない場合には、裁判所で「仮処分」という手続きをすることで、裁判所から削除命令を出してもらうことも可能です。
また、投稿した相手を刑事告訴して処罰してもらうことや、損害賠償請求をすること、「二度と同じようなことはしない」と約束させることも大切です。このようにしてペナルティを与えておかないと、相手がまた同じような行為を繰り返し、いたちごっこになってしまう可能性があるからです。
しかし、裁判所で仮処分をするにも犯人を刑事告訴したり損害賠償請求したりするにも、被害者が1人で対応するのは心許ないものです。仕返しされるおそれもあるので怖いですよね。下手をすると、三鷹ストーカー殺人事件のように、相手から逆恨みされて傷つけられてしまうかもしれません。
交際中は何の問題も感じていなくても、別れてしまうと突然豹変する相手がいます。
弁護士に間に入ってもらい、相手をブロックしながら対処を進めていかないと危険です。
弁護士をどうやって探せば良いかわからないという場合、弁護士の無料相談を受けられるサービスがあるので、利用すると良いでしょう。
日本法規出版の無料相談窓口を利用すると、お近くで無料相談できる弁護士事務所を紹介してもらうことができます。利用料金もかからないので、費用を気にせず使ってみて下さい。
今は被害を受けていないという場合、万一の場合にそなえて弁護士保険に加入しておきましょう。
弁護士保険に加入していたら、いつでも弁護士に電話で相談できますし、弁護士費用を保険から支払ってもらえるので、何があっても安心です。
今回は、リベンジポルノと対策方法について解説しました。リベンジポルノに遭わないように、不用意な写真撮影は控えることと、万一被害に遭った時には早急に弁護士や警察に相談すること、万一に備えて日頃から保険にはいり、対策をとっておくことが大切です。
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