フリーランスのための法律を元弁護士が解説!vol1
この記事をお読みのあなたは、ネット上で他人を誹謗中傷してしまい、逮捕されるのではないかと心配されていますよね?
ついつい熱くなって言いすぎてしまった、プライバシーに踏み込んでしまった、著作権を侵害してしまったなど、ネット上での表現が原因で逮捕されるケースは数多く存在します。
中でも誹謗中傷してしまう罪を「ネット名誉毀損」などと言いますが、実際に、ネット上の名誉毀損で逮捕されるのは、どのようなケースがあるのでしょうか?
この記事を読めば、ネット名誉毀損で逮捕される事例とその後の手続きの流れ、対処方法などがわかるので、他人を誹謗中傷してしまったトラブルを最小限度にとどめることができます。さっそくみていきましょう。
1. ネット名誉毀損で逮捕された事例
まずは、ネット名誉毀損で逮捕された事例にどのようなものがあるのか、ご紹介します。
1-1.作家を「風俗嬢」と中傷したケース
加害者がネット掲示板において、ノンフィクション作家の女性につき「現在は風俗嬢。低脳」などと誹謗中傷した事案です。
犯人は「知り合いに頼まれた」と説明していましたが、罪は認めました。
この件では、被害者が書き込みを見つけて、刑事告訴したことにより、逮捕につながりました。
1-2.元交際相手を中傷したケース
男性が、ネット掲示板で、元交際相手の女性を誹謗中傷する文章を投稿したケースです。
加害者は、被害者から別れ話を持ち出されて立腹し、腹いせのためにネット上で名誉毀損的な投稿をしていました。被害者が警察に相談し、悪質だったため逮捕につながりました。
1-3.ラーメン屋「甲」への誹謗中傷が行われたケース
加害者がホームページ上で、「甲」というラーメン店への誹謗中傷を行ったケースです。
「インチキ FC甲粉砕!」「甲で食事をしたら、飲食代の 4~5%はカルト集団の収益になります」など、甲がまるでカルト集団であるかのような虚偽の文章を掲載しました。
このケースでは、そもそも名誉毀損に該当するかが問題となり最高裁まで争われましたが、最終的に加害者が有罪となり、罰金30万円の刑が言い渡されました。
2.ネット名誉毀損で逮捕された後の流れ
もしネット名誉毀損で逮捕されたら、どのような流れになるのでしょうか?
逮捕された場合、まずは、48時間以内に検察官に送られます(このことを送検と言います)。
そして、検察官が必要と判断したら、裁判所に勾留請求をされて、引きつづき警察の留置所で身柄を拘束されます。送検後勾留決定までの時間は24時間以内です。
勾留期間は原則10日ですが、さらに10日延長することができるので、最大20日となります。
その期間が満期になると、検察官は基礎にするか不起訴にするかを決定します。
不起訴になったら刑事裁判にはなりませんが、起訴されると、99.9%以上のケースで有罪となります。
逮捕後、勾留されなかった場合でも、捜査は継続するので、いずれは起訴されるか不起訴になるかが決定されます。
起訴されたら、やはりほとんどのケースで有罪となります。日本の刑事裁判で有罪になる確立は、なんと99.9%です。無罪になるのはまず諦めた方が良いでしょう。
ただ、この数字にはからくりがあると考えているので、関心のある方はお読み下さい。
3.ネット名誉毀損してしまった場合の対処方法
もしもネットで名誉毀損の投稿をしてしまい、刑事告訴されそうなときにはどうしたら良いのでしょうか?
いったん起訴されてしまったら、上記の通り99.9%以上のケースで有罪となるので、起訴されないようにするのが一番です。
そのためにもっとも有効な方法は、被害者と示談することです。
示談が成立すれば、被害者は刑事告訴しないので、名誉毀損罪で逮捕されたり起訴されたりする可能性は0になります。名誉毀損罪は、親告罪なので、被害者が刑事告訴しないと起訴することができないためです。
そこで、行き過ぎた内容の投稿をして後悔しているなら、早めに被害者に謝罪して、示談の話を進めましょう。慰謝料の金額は、だいたい20~50万円くらいが相場です。
自分で交渉するのが難しい場合には、弁護士に依頼すべきです。被疑者が自分で示談を進めようと思っても被害者から警戒されて無視されることも多いですが、弁護士であればきちんと話をつけて、支払える範囲の慰謝料の金額を決めてくれるからです。
自分で示談を進めると、被害者から法外な請求をされたときに、値切ることも難しくなってしまいます。「もっと安くしてほしい」と言うと「反省していないのか!」などと言われてしまうからです。
弁護士に知り合いがいない方も多いと思いますが、最近では無料でお近くの弁護士を探せるサービスがあるので、どんどん利用すべきです。
このように、ネット誹謗中傷事件はちょっとしたことで簡単に起こしてしまいます。ネットを使っている限り、誰でも巻き込まれる可能性があるんです。
何かあった後では遅いです。日頃から、事件に備えておくことで、何かあったときにスムーズに対応することができます。
そのためには、弁護士保険に加入しておくことをお勧めします。弁護士保険に入っていたら、いつでも無料で弁護士に相談できますし、300万円までの弁護士費用を保険が負担してくれるので、とても楽になるからです。
資料請求だけなら無料でできるので、万一の備えのために是非とも検討してみて下さい。何度も言いますが、「何かあったときには遅い」です。少しでも気になるなら、調べておかないと後悔する可能性が高いので、行動することをお勧めします。
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